株式会社エミリンク

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対談

小原院長の”いま一番気になる人・仕事”スペシャル対談
2016.11.13 塩津朋子×小原忠士

平成2年の開院以来、25年間にわたり地元連島を中心に多くの住民の方から信頼を頂き、皆様の健康に貢献してきた小原整骨院。その小原院長が“いま一番気になる人・仕事”というテーマで、ゲストの方と対談をして頂きました。今回は、助産師として、子ども・親支援の活動もされている塩津朋子さんをお迎えし、出産から子育てについて語り合って頂きました。(2016年11月13日(水)小原整骨院にて)

「みんな不安なんですね。育児が。泣き止まない、母乳を飲んでくれない、寝てくれない、暑いんだろうか寒いと感じてるんだろうか…。育児書に書いている通りにできないけど、大丈夫なんだろうか…イライラ、ハラハラ、ほんとストレス製造機じゃないのか!って思うくらい赤ちゃんには手がかかりますよね。まぁそれも赤ちゃんの寝顔や笑顔を見ると、イライラやストレスなんて吹っ飛んじゃうんですけど…。でも、ちゃんと育てなきゃという思いが強いと、やっぱり不安ばかりが募ります。」

塩津 朋子
(かねこ助産院 助産師)

1959年5月12日生まれ。倉敷市水島にて生まれる。
天城高校卒業後、県立短大看護科から岡大医学部附属助産婦学校へ進学。三菱自動車水島工場三菱病院での勤務を経て、順正高等看護専門学校へ。子育てのため一旦専業主婦となる。その後、かねこ助産院に勤務。助産師として働く傍ら、子育て中のお母さんを支援するNP(ノーバデョーズパーフェクト)の普及に携わる。また低年齢の子どもから思春期の少年少女へ向けた性教育の講演なども行う。子育てを通じた家族の在り方を大切にしており、子育て中のお母さんの良き理解者として多くのお母さんから頼りにされている。

塩津 朋子

小原 忠士
(小原整骨院 院長)

1964 年 倉敷市出身。地元である倉敷市連島で開院以来24年にわたり地域の皆様の健康に貢献してきた小原整骨院の院長。
柔道整復師としての技術力は当然、その穏やかな人柄で多くの患者に慕われ、スタッフからの信頼も厚い。2014 年6 月には株式会社エミリンクとして法人設立。
代表取締役となる。

俣野 浩志
(株式会社パッション)

岡山市出身。一般社団法人ウェブ解析士協会認定 初級ウェブ解析士。経営修士(MBA:香川大学大学院地域マネジメント研究科)。大学でマーケティングを学んだ後11 年間印刷・デザイン業界に勤務。2009 年に岡山県産業振興財団主催のベンチャー・ビジネスプランコンテストにて奨励賞を受賞。2013 年大学院にて「住民主体の体験交流型プログラムが地域社会に与える影響についての考察」というテーマで、NPO のまちづくりを研究した。

「体育の先生になろうと思って補習を受けたんですが…周りのみんなできる子ばっかりで…無理だと思って諦めたんです…結局…どんどん対象年齢が下がって…赤ちゃんになった(笑)。」

俣 野:
今回は、助産院でお母さんや赤ちゃんに携わる傍ら、子育て支援の活動もされている助産師の塩津朋子さんをお迎えしています。晩婚化や少子化が叫ばれる現在の出産から子育ての現状について語り合っていただきたいと思います。まずは塩津さんとの出会いですが、塩津さんと小原先生とは、私がご紹介したのがキッカケですね。
小 原:
そうですね。塩津さんとは、俣野さんの紹介でお会いしました。当院も出産や育児というライフステージに差し掛かっている患者さんも多いことから、何か患者さんの為になるお話が聞けるのではないかと…期待しています!

塩 津:
あはは…いきなりハードルが上がってますよ。小原整骨院に初めてお伺いしましたが、女性の患者さんが多いんですね。治療メニューも逆子や骨盤矯正、女性疾患に対応したメニューがいっぱいあって。こちらこそ、私の患者さんの為になる情報が入手できそうで嬉しいです!
小 原:
ははは。ではお互い情報交換しましょう!

塩 津:
ぜひぜひ。
小 原:
まず、助産師を目指されたキッカケは?

塩 津:
看護学校に行こうと思ったのは高校の時ですが、小さい頃から学校の先生になりたかったんです。
それで高校の時に進路をどうするかということになった時、体育の先生になろうと思って補習を受けたんですが…周りのみんなできる子ばっかりで…無理だと思って諦めたんです。
じゃあ数学で!とも考えたがやっぱり無理…。
それならば小学校の先生ならどうかと…小学校の先生はどの教科もオールマイティにしなければならないので、めんどくさかった(笑)。
元来めんどくさいのが嫌いな性分で…。
幼稚園の先生もめんどくさかった(苦笑)。
結局…どんどん対象年齢が下がって…赤ちゃんになった(笑)。
小 原:
ははは。だんだん年齢が下がって…面白いですね。でも結果的に一番性に合った?

塩 津:
です。妊娠・出産は女性のみに与えられた特権ですし、子育ては今でこそ男性も関わりますが、そうは言ってもまだまだ女性が中心になる大きなライフイベントです。
私自身女性として、いずれそういう機会が訪れるだろうと思っていましたし…そうですね、性に合ったというのがしっくりきますね。フィーリングで生きているので(笑)。
小 原:
ははは。その後は?

塩 津:
臨床は三菱病院で、当時、そこの産婦人科は有名でして…4年間。その後、看護学校の教職にもつきましたが、第二子出産を機会に一旦家庭に入り出産・子育てをして、子どもの手が離れたところで、かねこ助産院へ勤務させてもらって、今に至る…です。


201611-02

小 原:
助産院では主にどいう仕事をされているのですか。

塩 津:
私が中心にしているのは産後のフォローです。妊婦さんは、出産されるのに5日間入院されます。
その後、ご自宅に戻られるわけですが、そこから産後のフォローに入ります。お宅に1度お伺いして経過を診せていただき、上のお子さんの様子などのお話もお聞きしています。
通常は一度の訪問ですが、赤ちゃんの体重増加や、お母さんのおっぱいの様子、不安な様子などにより対応は変えています。
訪問の後は週一回、助産院のスタッフが電話で継続して様子を伺っています。
小 原:
なるほど。初産だと新米お母さんのメンタルの部分もケアしなければなりませんね。

塩 津:
その通りです。初産のお母さんだけではなく、何人目のお子さんでも家庭の背景や上の子の状態、赤ちゃんの気質など、みなさんそれぞれ異なります。
助産院でお乳のマッサージをしている時などにいろんな質問を受けていたんです。みんな不安なんですね。育児が。泣き止まない、母乳を飲んでくれない、寝てくれない、暑いんだろうか寒いと感じてるんだろうか…。
ネットの情報を検索してみても我が子には合わない、育児書に書いている通りにできないけど、大丈夫なんだろうか…。毎日が子ども中心になって自分の時間が全くなくなる…ほっと息を抜く時間がない。
イライラ、ハラハラ。赤ちゃんには手がかかりますし、気も使いますよね。まぁそれも赤ちゃんの寝顔や笑顔を見ると、イライラやストレスなんて吹っ飛んじゃうんですけど…。
でも、ちゃんと育てなきゃという思いが強いと、やっぱり不安も募ります。
小 原:
確かに、赤ちゃんの笑顔は、すべての苦労やネガティブな感情を吹き飛ばすに十分な破壊力を持っていますよね(笑)。
私の整骨院にも赤ちゃんを連れて治療にくる新米お母さんがいるんですが、お母さんが治療する間の赤ちゃんの面倒を見たいって、スタッフが先を争ってますよ。
抱っこしたい〜って。たまたま来ていた患者さんも一緒になってみんなで見てくれるんですよ。何度も通ってると「○○ちゃん、今日も元気ね〜」なんて近所の年配の女性なんかもう名前まで覚えてて…。
新米お母さんも、子供と離れることができる時間が少しでもあると、息抜きができるんでしょうが、自宅で旦那さんが働きに出ていて、一人で子育てしているだけだと、ほんと大変だと思います。


201611-03

塩 津:
そうなんですよ。昔はおばあちゃんが同居してたんです。ところが、核家族化が進んでしまい、しかも親は遠くに住んでいて相談できる人がいない。
孤独なんです、最近のお母さん。助産院の仕事柄、彼女たちからの質問に対して、先輩として色々とアドバイスはできるのですが、それだけでは普段の生活のことなど、細かいことへの質問や不安には対応できないことに気がついたんです。
やはり、同じ境遇のお母さん同士が話せる場とか、もっと年の近い先輩のお母さん達とグループになってお母さん同士で話せば、いろんな悩みが解決できると思って…そういう集まりがないか探していたんです。
 そこで出会ったのがNP(ノーバディーズパーフェクト)なんです。NPのプログラムは、0歳から5歳までの子どもをもつ親を対象に、参加者がそれぞれに抱えている悩みや関心のあることをグループで出し合って話し合いながら、必要に応じてテキストを参照して、自分にあった子育ての仕方を学ぶもので、講師などがいるセミナーではなく、参加者同士がそれぞれの悩みや課題を話し、その会話を促すことで共に考え学ぶ場なんです。
お母さんだけで話していると、井戸端会議的になるので、そうならないように、ファシリテーターを入れて話を進めていく…。
ですからNPは、単にお母さん同士の苦労話に対して共感を求める場ではないんです。親としての成長を促す場であり、親育ての面も持っているんです。
NPのプログラムは「親」「行動・しつけ」「こころ」「からだ」「安全」「感情」の6つのカテゴリーで構成され、子育てに関する事柄が一通り網羅しているテキストも貸し出しますので、親に対して必要な情報を提供できる仕組みも持っています。NPに出会って、早速、私自身がファシリテーターの資格を取って活動を始めました。

———–NP:カナダ生まれの子育て中の親支援プログラム“Nobody’s Perfect” ———–
はじめから一人前の親などいません。皆まわりからの助けを得ながら親になっていくのです。このプログラムは、あなたにとって親になるということについて必要なこと、知りたいことのすべてを含んでいないかもしれません。
しかし、親が自分の長所に気づき、子育てに対して前向きな方法を見いだせるよう手助けすることができます。(ノーバデョズパーフェクトウェブサイトより抜粋)
 http://np-j.kids.coocan.jp
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小 原:
確かに、親になる練習なんて誰もしませんものね。初めて子を持つ時の不安は相当なものでしょうね。
本とかで学んだとしても、実際には思うようにいかないことがほとんどだと思うし、相談できるおばあちゃんがいないとなると頼れるところがない…。
具体的にはどんな活動になるのですか?

塩 津:
NPはカナダ発祥で、カナダでの活動は数十年になるので実績があるプログラムです。カナダでは主にお金がなかったり、移民の方に対して行なっています。
日本では、就学前の子供を持つお母さん限定で集まっています。
 NPでは、同年齢の子どもがいることで、共通の興味や関心をもつお母さんと出会うことができます。そして、参加者同士で安心できる場となるためのルールを決めていきます。
この安心して出会うことができる場を、通常、10人前後のグループで、毎週1回、2時間、6回~10回連続で行うことを基本にしています。
 進行は、研修を受けたファシリテーターがつとめ、会の準備・企画・実施及び、参加メンバーの話し合いと交流を円滑にすすめていく役割を担います。
NPの目的は、お母さんが自分の長所に気づき、健康で幸福な子どもを育てるための前向きな方法を見出せるよう手助けすることなんです。なので、子育ての正しい方法をお母さんに教えるというものではないんです。
それと、危機的な状況や深刻な問題をかかえる家庭を対象としたものではありません。
 以前、私はこの活動を広めようと、総社のNPOでお母さん支援の地域活動をしていたんです。
ただNPを広めるにも、ファシリテーターが少なかったんで、まずファシリテーターを増やすことが必要でした。
小 原:
なるほど。お母さんの悩みなどを話せる場となると、かなり個人的な話題が出たりするのでしょうね。

塩 津:
そうなんです。ですから、参加者同士も話題は口外禁止にしたいと思っていますし、時にセンシティブな話題が出ることもあるので、そういった話題の扱いが繊細にできるスキルがファシリテーターには求められます。
 実は、そのファシリテーターの養成にお金がかかるんです。
ファシリテーターを増やしたくて、県から助成金でファシリテーターの養成をしましたが…実際のお母さんが集まる会を行うにも、助成金がないと運営できないような状況です。思った以上にNPのプログラムを運営していくのにはお金が必要だったんです。託児も必要ですし…子どもがいたら、大人どうしの話ができないので託児が必ず必要なんです。
ファシリテーター二人の費用もかかります…2時間×6~8回、同じファシリテーターで。参加者は同じメンバーで、多くても12、3人までで開催します。ファシリテーターが安くて1回に1万円なので、10万円以上。
ワンコースするのにトータルで20万円は必要になるんです。NPは参加者からはお茶代のみで負担させてはいけないという方針を取っているので…いつも予算をどこから捻出するかが悩みの種でした。
小 原:
お母さんのメリットは大きいでしょうね。

塩 津:
はい、総社では年に2回「子育てひろば」で、倉敷や岡山でも開催されています。NPのプログラム自体良いものですし、仲間ができることもお母さんの安心感を高めます。
託児があるので、少しの時間ですが子供から離れることができます。お母さん本当に自分だけの時間ってないです。NPでは大人同士で落ち着いて話しができるんですね。
そして、自分が我が子にやってみて、成功したことなどを他のお母さんに提案してみて、それが「うまくいったよ」などと成果をフィードバックしてもらうと、「私の苦労した子育て経験が役に立った」と嬉しくなります。
他の人に受け入れてもらい、役に立てる貢献感がお母さんの気持ちを前向きにしてくれます。
 しかし、まだまだ課題があります。NPを広めていく中で、本当にこの情報を必要としているお母さんに、どうやって知ってもらうか…本当に悩んでいるお母さんは外に出てこないので…というかおそらく外に出られない、気持ちが塞いでしまって…家で悩み続けている…そんなお母さんも多いんです。そういったお母さんを何とかしてあげたい!
小 原:
うまく子育てできないと思い込んでしまって、自己嫌悪になってしまうんでしょうかね。
自分だけの考えで判断するんじゃなくて、他の人の話を聞いてみたり…やはり人との繋がりが必要なんですね。
それほど思い悩むことではないかもしれないし、また考え過ぎなくても、他のママさんから、こうしたら解決したよって話を聞いたり…。

塩 津:
はい、そうですね。中には、障害を持った子供のお母さんも入られているんです。
まだ診断は付いていないが、ちょっと育てにくいと感じているお母さんとか…。本当に話すことで楽になれるので、子育てがしんどいなと思い始めたら、一度参加してもらいたいですね。
お母さんが悩んでいると、子どもにも影響を及ぼしかねないですから。
小 原:
今後、NPをどのようにしていきたいとお考えですか?


201611-04

塩 津:
年に一回は地域でやりたいです。北房でもやりたいですね!実は夫が早期退職して北房でランプ小屋…ランプの販売と珈琲と軽食の提供ですが…を始めたんです。
北房のお母さんも集まりがあって、そこでもNPができるといいなと思います。また、どこの地域でも広がってほしいです。
現在、県内に20名くらいのファシリテーターがいます。お母さんができるだけ前向きに楽しく子育てができるために、子育ての区切りがついた後も、地域のことや子育てなどに気持ちが向くと嬉しいですね。開催できる地域が増えるといいな…。
 NPを受けられたお母さん達も、今度は困っているお母さんに声をかけますと言ってくれていますし…お母さんが情報を掴まないとNPなどの支援を知ることができないので…プログラムを終了したお母さん達が集える場も企画していますし…。
小 原:
どんどん広がるといいですね。
ところで、塩津さんは他にも活動していることがあると伺いましたが?

塩 津:
ええ、実は子ども向けに性の健康教育も行なっています。
インターネットが普及して、様々な情報が入手できる一方、きちんとした知識を持っていない状況で危うい情報に接触する可能性が高まっていますよね。
フィルタリングとかで、いかがわしいサイトを遮断することも大切ですが、もっと年齢の低い段階で、親や養育者など近しい大人が子どもに「あなたは大切な存在」という気持ちを伝えることが性の健康教育の基本で、「科学的に、心身の健康と安全を守っていく」方法の一つとして取り組んでいます。性欲であったり、命を授かる行為だけを性教育で学ぶわけではなく、自分の心と体を大切にすることを知識はもちろんですが、気持ちや感覚として学んでほしいと思っています。
好きな人に対しても性別を問わずお互いに心も体も大切にすることを学んでほしいです。「性・・心が生き生きと生きること」に関心を抱くことは素敵なことです。他者を好きになることはとても自然な感情ですから…。
好きな人を大切にしてあげたいと思うのは当たり前ですよね…そんなことを子ども達にも伝えたいと思っています。
小 原:
そうなんですか。それもまた大切な活動ですね。自分の子どもに対して、いつの段階で、そういう形で「性」を教えるか、ご両親はこの問題にはいつの時代でも頭を抱えていますよね。
まぁ大概は小学校高学年から中学くらいで友達とワイワイ言いながら学んでいくんですが、特に男子はわかりやすいですよ…保健体育の授業もありますが、あまり深く入っていなかったような気がしますね。
その活動は講演などで?

塩 津:
ええ、呼んでいただければ、対象年齢に合わせたコンテンツでお話しさせていただきます。
小 原:
それは、いいですね。うちの地域でもそういう講演を開いていただきたいですね。
結構、興味を持たれるご両親は多いと思いますね。

塩 津:
ぜひ、企画してみてください!
小 原:
今日は、色々と興味深いお話を伺うことができました。
ありがとうございました。

塩 津:
こちらこそ、ありがとうございました。

塩津朋子
〒7719-1133 総社市中原
TEL:080-3876-0556
E-mail:mokko1227@gmail.com
かねこ助産院
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