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株式会社エミリンク

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対談

小原院長の”いま一番気になる人・仕事”スペシャル対談
2017.01.26 黒田聖子×小原忠士

平成2年の開院以来、25年間にわたり地元連島を中心に多くの住民の方から信頼を頂き、皆様の健康に貢献してきた小原整骨院。その小原院長が“いま一番気になる人・仕事”というテーマで、ゲストの方と対談をして頂きました。今回は、絶滅危惧種の希少な渡り鳥であるブッポウソウの研究者にして一児の母である黒田聖子さんをお迎えし、ブッポウソウの研究に対する熱い想いついて語り合って頂きました。(2016年1月26日(木)珈琲館 アリオ倉敷にて)

「鳥の研究者になりたいのは夢なんですが、それで終わりではなく、ブッポウソウを盛り上げていけるような活動をしたいんです…人や自然などの環境も見れるような人になりたいと思っています。ずっと関わっていきたいんです。」

黒田聖子
(岡山大学大学院)

1988年(昭和63年)2月8日兵庫県たつの市生まれ。
ミッション系の高校である賢明女子学院を卒業後、岡山大学に入学、4回生の時に絶滅危惧種である希少な渡り鳥「ブッポウソウ」に出会い、その魅力に惹かれ研究の道へ。その後、同大学の大学院、自然科学研究科に進み修士課程を修了。現在ドクターコースにてさらなる研究に勤しんでいる。また研究の傍ら、清心女子高等学校の生物の非常勤講師として生物学の面白さを説いている。3歳の息子を持つ一児の母でもある。

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小原 忠士
(小原整骨院 院長)

1964 年 倉敷市出身。地元である倉敷市連島で開院以来24年にわたり地域の皆様の健康に貢献してきた小原整骨院の院長。
柔道整復師としての技術力は当然、その穏やかな人柄で多くの患者に慕われ、スタッフからの信頼も厚い。2014 年6 月には株式会社エミリンクとして法人設立。
代表取締役となる。

俣野 浩志
(株式会社パッション)

岡山市出身。一般社団法人ウェブ解析士協会認定 初級ウェブ解析士。経営修士(MBA:香川大学大学院地域マネジメント研究科)。大学でマーケティングを学んだ後11 年間印刷・デザイン業界に勤務。2009 年に岡山県産業振興財団主催のベンチャー・ビジネスプランコンテストにて奨励賞を受賞。2013 年大学院にて「住民主体の体験交流型プログラムが地域社会に与える影響についての考察」というテーマで、NPO のまちづくりを研究した。

綺麗な鳥にもかかわらず図々しんですよ…それにあの声です。そういうところにも惹かれす。ギャップ萌えですね(笑)。

俣 野:
今回は、絶滅危惧種の希少な渡り鳥であるブッポウソウの研究者にして一児の母である黒田聖子さんをお迎えし、ブッポウソウの研究に対する熱い想いついて語り合って頂きたいと思います。まずは黒田さんとの出会いをお伺いしたいのですが…実は…。
小 原:
実は、今日初めてお会いしています(笑)。司会の俣野さんから、貴重な鳥をずっと研究されている方がいらっしゃるのでお会いしてみませんか? と…。私も去年から鳥の写真撮影も趣味に加わっているので興味津々です。今日はよろしくお願いします。

黒 田:
こちらこそ、よろしくお願いします!(笑)。俣野さんとは以前NPOの事業で一緒にお仕事させていただいていまして…「幸せの青い鳥ブッポウソウに会いに行こう」というブッポウソウを見に行くイベントを主催しまして…俣野さんにも参加していただきました。
俣 野:
そうでしたね。確か暑い最中、4箇所くらいの巣箱を回って…本当に青くて綺麗な鳥でした。あの時は吉備中央町でしたが、田舎の風景を見ながらブッポウソウの鳴き声を聞くと、なんとも言えない郷愁を誘って…良いイベントでした!ガイドも良かったし!

黒 田:
いえいえ、ありがとうございます。日によってはブッポウソウに会えないこともあるので、出会えて良かったです。
小 原:
いいですね〜ガイドもやてくれるの?

黒 田:
はい、しています。希少な鳥なので、野鳥が好きな方には有名で…。


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小 原:
ぜひ、僕もお願いしたいです!。超望遠で撮れるカメラもありますからね!
ところで、黒田さんとブッポウソウとの出会いを教えていただけますか?

黒 田:
はい、高校生の時に中村浩志著『蘇れ、ブッポウソウ』という本を読んだんですが、その時の印象が強くて、当時から野生動物の保護に関心があったのですが、岡大に行くことになり、またブッポウソウが岡山にいることがわかって…それが一番のキッカケです。大学1年生の2006年に、吉備中央町でブッポウソウ保護フォーラムが開かれていて、高円宮妃久子殿下や「甦れ、ブッポウソウ」の著者である中村浩先生がお越しになられて、地元の人も含め、みんなブッポウソウ保護の熱意が凄かったんです。また数が少なく珍しい鳥でだったこともあり、研究もまだまだされていなかった時で…自分で調べたいと思ったんです。それに一番はブッポウソウという鳥自体の魅力です。鳩をスリムにした感じの大きさなんですけど、羽を広げると60センチくらいあるとても大きな渡り鳥なんです。オスとメスの模様が一緒で見た目では見分けがつきにくい鳥なんです。交尾や求愛求愛(オスからメスに餌をあげる)のシーンを見ればわかる場合もありますが、一羽だけだと見分けがつかない。カラスやハト、ツバメも同じで雌雄が同じ色をした鳥は見分けるのが大変なんです。でも個体差が大きいので目立つ行動をする個体なんかには愛着が湧くんですよ。あぁ、この子、今年も帰ってきたんだ!「おかえり!」って。実は綺麗な鳥にもかかわらず図々しんですよ…それにあの声です。そういうところにも惹かれたんです。ギャップ萌えですね(笑)。
小 原:
とても綺麗な青い鳥ですね。チルチルミチルの青い鳥に出てくる、幸せの青い鳥に見えますね。でも図々しんだ(笑)。そんなブッポウソウが絶滅危惧種になった経緯やブッポウソウの生態などを教えてくれますか。

黒 田:
はい、図々しいヤツですが(笑)、不器用なヤツでもあるんです。ブッポウソウは絶滅危惧IB類のカテゴリーに指定されている種なんです。一番危惧されているⅠA類には、イリオモテヤマネコ、コウノトリなどが指定されています。ブッポウソウはその下のカテゴリーのⅠB類です。さらに下のⅡ類にはメダカが指定されています。その次が準絶滅危惧種になります。
 ブッポウソウの繁殖地は全国的にあるのですが、東北から九州まで局所的で、北海道では繁殖の確認がありません。一番多いのは岡山県と広島県で、特にこの2県の密度が高いです。巣箱を設置するなどの保護活動が岡山では1990年頃から行われていていることが影響しているのだと思います。現在、県内では500近くの巣箱がつけられています。


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黒 田:
ブッポウソウは木の「うろ(キツツキが開けた穴とか)」を巣にする習性があるんです。自分では木に穴を開けられないんです。実はこれが絶滅に瀕してしまった大きな要因なんです。もともと個体数が多い鳥ではないのですが、昔の山にはブッポウソウが繁殖できる木がありました。ところが戦前戦後、山の木がどんどん伐採されて行き住むところがなくなっていったんです。ところが当時のNTTの電信柱は木だったため、そこにキツツキが穴を開けて、ブッポウソウもそれを利用するようになっていたんです。しかし、電信柱もコンクリート製になって木製のものが減っていったんです。自分では木に穴を開けられない鳥なので、巣を作る手立てがないんですね。その現状を日本野鳥の会が危機感を感じて、もともと子育てしていた電信柱に木の巣箱をつけたら帰ってくるのではないか?と思い、電信柱に巣箱の設置をやったら、ホントに帰ってきた。それから巣箱を設置するなどの保護活動が本格化したんです。
小 原:
なるほど、確かにキツツキに比べて嘴は緩やかですね。これでは木に穴を開けることは難しいでしょうね。森林の伐採はよく言われるのでわかりますが、電信柱がコンクリート製になったことも影響していたとは…。

黒 田:
電信柱がコンクリート製になったことが彼らの生存を脅かすことに拍車をかけたのは確かです。もちろん、森林が伐採されたことは、ブッポウソウの生存環境を脅かすとても大きな要因です。彼らは飛翔性の大型昆虫を好んで餌にします。カナブンとかクワガタムシ、セミ、トンボなどです。なので、それらの昆虫が飛んでいる環境である雑木林がないと生きていくことが難しいんです。
小 原:
渡り鳥ですよね。ある一定の期間だけ日本にやってきて生活する。

黒 田:
はい。彼らは冬はインドネシアのボルネオ島くらいまで渡っています。一年中東南アジアにいるブッポウソウもいますが、日本に渡ってくるのはその中の1種類だけなんです。ブッポウソウには嘴の形が微妙に違ったりする12の亜種があり、渡りをするのはその中の2種くらいなんです。例えば、パプアニューギニアのブッポウソウはオーストラリアに渡ります。日本に渡ってくるのはマレーシアにいるブッポウソウです。何か疑問に思われませんか?あっちの方が暖かいので日本に渡って来る必要はないと思われるのに、彼らは来るんです。本能で渡ってくるんです。
小 原:
そう言われれば、確かにそうですね。日本に渡ってくるのはいつ頃なの?

黒 田:
5月頃からこちらで見かけるようになります。8月末頃に東南アジアに帰ります。9月になるともういません。
小 原:
じゃぁその間に調査をしてるんですね。主にどんな調査をされていんるですか?

黒 田:
調査は繁殖に関するものがメインです。彼らは子育てをしに渡って来ているので。東南アジアに比べて日本の夏は短く、カナブンなどの餌がどんと出るときにヒナを育てなければならないのです。そういう環境の中で、どのように子育てをしているのかを調べたり、卵をいつ産んだのかとか…。昨年は週4回のペースで調査をしていました。昨年からは高梁市の宇治町を中心にフィールド調査をしています。
 彼らは、オスとメスが交代で子育てを行います(卵を温めたり、餌を採ったり)。なので、そのときに巣箱に網をかけて捕まえて、個体識別のための足環をつけます。子育て中は気性が荒いので大変です(笑)。スズメとかはメスしか卵を温めないので、ブッポウソウはイクメン揃いかもしれません(笑)。
小 原:
繁殖のために渡ってくるんですね。向こうの方が環境は良さそうなのにね。他の野鳥とはどんなところが違うの?

黒 田:
そうですね、違いというか…面白いのは、地元民に愛されている鳥だということでしようか。色が鮮やかで綺麗な鳥なのに、見た目に反して鳴き声が汚いとか(笑)。あの容姿であの声ですから、地元民に愛着心がわいているんです。地元の人が農作業をしていると、飛んでくるんで、田舎の風景に溶け込んでいます。地元の人たちも「体も大きいし色も綺麗なので、ああ、あいつがまた飛んできていると思って、元気が出る」と言われています。それに野菜を食べたりなど悪さをしないので(害鳥ではない)、人の家に近づいたりもしないんです。ツバメよりも遠いところにしか来ないし、すぐ逃げるんです。私が来たら逃げるが、地元民だと逃げない人もいる。
 よく鳴く時期は、5月に渡って来た時ですね。この時期はよく喧嘩するので賑やかです。7月になるとまた賑やかになるんです。朝鳴くことが多いです、ほとんどが縄張り争い。巣箱を中心に半径100メートルくらいが自分のテリトリーなんです。なので巣箱をつけるときは200メートルくらい離してつけるようにしています。
小 原:
巣箱の管理とかフィールド調査は大変じゃないの?体力的にも…。

黒 田:
はい、おかげさまで逞しくなりました(笑)。電信柱にもよく登りましたから…。ブッポウソウはなかなか近くに来るのを許してくれないので、調査も双眼鏡で調べるんです。行動観察などもします。どこからどこに飛んでいったり、何したりとか、どこで餌を採ったり、取った餌をどうしているとか。結構気長な作業です。
 調査期間中、夏の間は長袖長ズボンで、そーっと調査に行きます。日帰りで1時間半かけて行って、1時間半かけて帰ってくる。それが日課です。朝9時から4時半くらいまで調査して、その後子供を迎えに行くんです。確かに大変なこともありますが、根っからの鳥好きですし、好きなことやっていますので、いつもワクワクしながら楽しんでいます。それに田舎の長閑な雰囲気がいいんです。夏のひぐらしの声とかも好きですし…。
小 原:
うん、羨ましい!好きなことができて、素晴らしい環境で…。僕も是非、ガイドをお願いしたいです!将来の夢はどんな感じですか?

黒 田:
今、博士後期課程にいるんですが…悩みのタネの論文が…これをクリアしないといけないんです。とりあえず卒業したら、優秀な人は大学の助教とかになる道もありますが、私は教授を目指しているわけではないんです。でも論文を書かなければ…鳥の研究者になりたいんです。論文が認められたら研究者になれるんです。
 鳥に関しては北海道に研究者が多い。鳥も多いからなんですが、北大が力を入れているんで…。西日本では鳥を専門にしている先生は少ないです。近隣だと、兵庫県立大学はコウノトリの研究で有名です。豊岡市が積極的に保護活動をしており、それに伴って町おこしにも繋げていますから。
 私も、鳥の研究者になりたいのは夢なんですが、それで終わりではなく、ブッポウソウを盛り上げていけるような活動をしたいんです。保護しながらもいろんな人に知ってもらいたいし、継続して保護できるように…そいう活動が循環できるようにしたいんです。またブッポウソウだけでなく、ブッポウソウに関わる昆虫など含め、人や自然などの環境も見れるような人になりたいと思っています。ずっと関わっていきたいんです。

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小 原:
素晴らしいですね!ブッポウソウという絶滅危惧種が私たちの環境に対する意識や、田舎暮らしの良さとかを再認識させてくれますね。
今日は楽しいお話を聞かせてくれてありがとうございました。

黒 田:
こちらこそ、色々とお話させていただき、ありがとうございました。

黒田聖子