中俣 英樹
株式会社パリデレーブ 「パティスリー ココロ」 代表取締役
音声
■サポート(提供)
小原整骨院(倉敷市連島中央2-3-22)、株式会社パッション、株式会社アンスリール、オーセンティック合同会社、一般社団法人岡山アスレーテスクラブ、九九華聯 99ファーレン 倉敷、株式会社Peace
■挿入曲
HOME / アンジェラアキ
第119回目のゲストは、地元倉敷市連島で洋菓子店「パティスリー ココロ」を経営する株式会社パリデレーブの代表である中俣英樹さんをお迎えし、フランスと日本のスイーツの違い、スイーツへのこだわりについてお伺いしました。
<前半:パティシエを目指した経緯など>
パティシエになろうと思ったのは高校3年生の時。内気な性格でしたが、どこか目立ちたい気持ちがあり、誰とも違うことをやってみたかった。モテたいという思いもありバスケットボールをしていましたが、全然モテなかったです。そこで、「パティシエになれば目立てるかもしれない」と思い、この道を志しました。
高校卒業後、岡山市内にある西日本調理専門学校へ進学しました。1年間の専門学校生活を経て、岡山県玉島の「ボンテ洋菓子店」(2年)さんや香川県の洋菓子店(8年)で修行を積みました。
その後、30歳を過ぎてフランスに渡ることを決意。本場で自分の腕がどこまで通用するのか試してみたいという思いが強かった。スーツケースひとつだけ持って「これでダメならパティシエの道を辞めよう」と覚悟を決めて行きました。結果として、フランスでの修行は自分にとって大きな自信につながりました。
フランスでは、いわゆる「ノアール」で働き始めました。給与ももらえない研修期間のような形での労働です。今では考えられませんが、当時はよくある形態でした。現地で3年半修行を続け、日本に帰国しました。 帰国して地元倉敷で「パティスリーココロ」をオープンしました。今年で12年になります。
<後半:フランスでの修行ついて、フランスと日本のお菓子の違い>
フランスに行って驚いたのは、基本的な作業を大切にし、一つ一つ丁寧に手作業で作るクラシックなスタイルが主流だったことです。お菓子作りの方法や素材の組み合わせも、オーソドックスで伝統的なものが多い印象でした。
フランス菓子が美味しい理由の一つは、やはり素材の良さにあると思います。例えば、スーパーで売っている牛乳でさえ、日本よりも濃厚です。フランスの牛乳や生クリーム、バターにはコクがあり、その濃厚さは日本のものではなかなか再現できません。同じ乳脂肪分のバターを使っても、明らかにフランスの方が風味が豊かです。フランスは大陸の赤土が豊富で、そこで育った草を食べた牛が生産する乳製品だからこそ、この違いが生まれるのではないかと思います。
特にバターは日本と大きく異なります。たとえば、フランスの有名シェフが日本に出店しているお店で同じケーキを食べても、フランスで食べる方が美味しいと感じるほどです。フランスのバターを輸入することも可能ですが、コストが日本の約3倍もするため、なかなか難しいのが現状です。
フランスのお菓子自体は伝統的なものが多いですが、同時に斬新なお菓子を生み出すシェフも少なくありません。ただし、基本的には伝統を守る姿勢が強く感じられます。これはフランスの国民性とも言えるでしょう。特にパリには、世界中から職人が集まり、新しい挑戦をするシェフも多いため、常に新鮮な驚きがあります。新しいお店でも、クラシックなものをベースにしながら、それを現代風にアレンジして提供していることが多いですね。