
津本ゆかり
下津井節の全国大会優勝の唄の先生
音声
■サポート(提供)
小原整骨院(倉敷市連島中央2-3-22)、株式会社パッション、株式会社アンスリール、オーセンティック合同会社、一般社団法人岡山アスレーテスクラブ、九九華聯 99ファーレン 倉敷、株式会社Peace
■挿入曲
下津井節 / 津本ゆかり(生歌)
第125回目のゲストは、民謡「下津井節」をはじめとする全国の民謡を唄い継ぎながら、地域文化の継承とまちづくりにも尽力されている民謡歌手の津本ゆかりさんです。 歌と三味線の研鑽を重ねてきた津本さんの歩みと、民謡を未来へつなぐ想いについて、じっくりとお伺いしました。

<前半:民謡の世界へ入った経緯、下津井節との出会い>
津本ゆかりさんが民謡の世界に入ったのは、18歳のとき。 高校を卒業してすぐ岡山へ移り、民謡の師匠に弟子入りしました。修行は10年間。下電バスのガイドとして働きながら、唄と三味線の稽古を続けてこられました。
そんな中、最初に出会った民謡が「下津井節」でした。倉敷市下津井の港町で生まれたこの唄は、漁師や船乗りたちが日々の暮らしの中で唄っていた労働唄。素朴でありながら、情感と艶を感じさせる節回しが魅力です。
「最初に覚えた民謡だからこそ、自然と引き寄せられた」と語る津本さん。 下津井節は、歌詞や踊りの型に地域ごとの違いもあり、今では様々な振付が存在します。 その中で津本さんは「最も古く、教えられるかたち」を大切にし、次の世代へつなぐ活動を続けています。 「今、歌える人が少なくなってきた。だからこそ、今しかない」 そうした思いで、唄と踊りを地域とともに守り、育てています。
<後半:下津井節を未来へとつなぐために>
下津井節を未来へとつなぐために、津本ゆかりさんが立ち上げたのが「宵灯り(よいあかり)」という地域イベントです。これは、下津井節を練習してきた人たちの発表の場であると同時に、地域にあかりを灯す祭りでもあります。単なる発表会ではなく、踊り・唄・あかりが調和する空間をつくることで、地域の魅力を外に向けて発信。かつて色街として栄えた下津井の歴史をふまえ、しっとりとした艶やかさを演出することも大切にしています。
運営は、津本さんと地域の仲間たちによる実行委員会が中心。現在、踊り手は約35名。小学生から大人まで、男女を問わず参加しており、目標は50人。誰もが参加できる「宵灯りアカデミー」という体験講座も開催し、地域に開かれた文化として育てています。 踊りは一見簡単そうに見えて、ゆっくりした所作だからこそ難しいといいます。特に傘をかぶって踊るため、人を見ながらでは踊れません。だからこそ、自分の中に振りを染み込ませることが求められ、緊張感と美しさが生まれるのだそうです。
今後の目標は、下津井節を海外で唄うこと。「文化は稼げない」と言われてきた常識を乗り越え、地域にお金が回る仕組みをつくりたい。文化を“残す”だけでなく、“続ける”ことを大切に、これからも活動を続けていくそうです。民謡は、特別な人のものではなく、誰もが関われる“地域の言葉”のような存在。そんな思いを込めて、津本ゆかりさんは今日も唄い、つないでいます。