池田 恵里
障害者支援施設 ももぞの福祉園 生活支援員
音声
■サポート(提供)
小原整骨院(倉敷市連島中央2-3-22)、こはら鍼灸整骨院(倉敷市平田615)、cocoro from 小原整骨院(岡山市南区下中野1407-6)、古閑俊行話し方スクール、株式会社パッション、株式会社アンスリール、オーセンティック合同会社、公益社団法人倉敷市シルバー人材センター
■挿入曲
高純度romance / KinKi Kids
第87回目のゲストは、障害者施設で生活支援員として障害者の方への生活支援をする傍ら、障害者の方が描かれるアート作品を多くの方に広める活動もされている、障害者支援施設ももぞの福祉園の生活支援員の池田恵里さんをお招きし、障がい者アートへのこだわり、障害者支援への思いついて詳しくお伺いしました。
前半: 「素材の提供」「環境を整える」「指導しない」という創作活動に対する思い
絵を描いている時に(他の利用者さんとかが)通りすがりに、絵の上を歩いて足形がついても、その足型の人は作家さんになる。そのくらい作家さんの行動全てを創作活動と捉えている。ももぞのでは基本合作になる。個人の利用者さんが一人で全てを描くことはない。
20数名の方が描いている。同じものは2度とできない。指導は全くしない。指導をしてしまうと職員の思いになってしまうので。仮に途中で描くのをやめて余白があっても、その人がやめた時がその絵の完成と捉えるようにしている。本人の興味関心次第。展示会をする時は、障害者の方が描いたという先入観で見て欲しくないから、たまたま興味を感じてもらった絵が、障害者の方が描いた絵というふうに思ってもらいたいのでタイトルもつけていない。
ももぞのでは、「素材の提供」「環境を整える」「指導しない」 という方針を貫いている。 複数で描くので、喧嘩も起こる、私が描いた絵が消えたとか…。大切にしているのはその過程。どれだけ真っ黒でも、そこにいくまでいろんな過程を経てその形になっているので。 同じように複数でやっている事業所さんとは出会えていない。ももぞのの良さ。特徴かもしれない。
リクエストには答えられないが、そこに近づけようとすると、それに近い色味の絵の具を準備して、あとは好きにやってもらう。
後半:障害者の方の絵は暗いという先入観
ある時、「障害を持っている人の絵は暗い雰囲気の絵が多いと思っていた」という来館者がいて、一時期は真っ黒になるのにモヤモヤしていたこともある。 私たちはそこまでの過程(真っ黒になるまで)を大切にしようとしているので、真っ黒でもいいじゃないか、という信念を持っていた。しかし、一般の人の先入観を知った時に、真っ黒の絵が連続でできてしまったことがあった。制作過程を知らない人は真っ黒になるまでの過程を知らないので、出来上がった作品だけ見ると、暗い作品だと思ってしまう。そこが伝わらないのが残念。そういうのが一時期いっぱいできて、その時は自分の中でモヤモヤがあった。
販売した絵もある。展示会の後に買いたいと言われることもあり、ほしい人がいれば売ることはできる。昨年、展示していた絵が買った人が自宅の玄関先に飾ってくれている。天地は決めていないので、展示の時は縦だったが、買った人は横で飾っている。小児科の先生が買ってくれた。
展示会などの活動は、元々、ももぞの職員が描いた絵を保存していたことから始まった。利用者さんは大体同じ絵を描く。グルグルの人はいつもグルグル。ただの落書きにしか見えない絵を職員が保管していたが、それを外部から来た人に見てもらったら、蔵知さんというデザイナーに繋がって、これだったら展示会ができる。ということになった。利用者の皆さんが自由に描いた絵そのものを評価してもらえたら…というところから始まっている。